インタビュー

移住者ストーリー Vol.2 (後編)

魚島移住の先輩
愛媛県漁業協同組合 魚島支所長 塩見尚徳(しおみ・なおのり)さん
魚島診療所 看護師 塩見亜希子(しおみ・あきこ)さん
塩見芽依(しおみ・めい)ちゃん

 

地域全体で患者を支える

尚徳さんの奥様、亜希子さんは愛媛県愛南町出身の看護師さんです。地元の高校、兵庫県の看護大学を卒業後、兵庫県と高知県の病院で看護師として勤務。地方の総合病院で働くうち、病院にきてもらう時だけ患者さんを診るのではなく、患者さんの日常生活にも関わりながら医療に携わりたいと思うようになりました。

 

 

「病院中心ではなく地域全体で患者を支える、いわゆる[地域医療]を自ら実践したいと考えたんです。そんなとき、魚島診療所が看護師を募集していることを知りました。魚島のような小さなコミュニティだと、思い描くような医療が経験できるかもしれない。そのようなわけでその募集に応募し、採用されました。」2017年10月に魚島に移住。亜希子さんの生まれ育ったところ(愛南町久良)が魚島と同じような漁師町で、実家も養殖業を営んでいたことから、魚島の暮らしにも違和感はなかったそうです。

 

 

勤務中の診療所にお邪魔すると亜希子さんに電話が。相手は地域にすむ高齢の女性でした。処方された薬を飲んで、少しフラつきが出てしまったとのこと。亜希子さんはその患者さんのカルテをすぐ取り出して「うんうん、そうですね、ちょっと薬が効きすぎちゃったのかもしれませんね。一回飲むのを飛ばしても大丈夫ですから、安心してください」とカルテを見ながら答えていました。

 

 

「大切なものは何か」考えられる暮らし

そんなふたりは魚島でバンド活動を通して知り合い結婚。2019年に長女芽依ちゃんが誕生しました。芽依ちゃんは2021年現在最年少の島民で、魚島保育所の唯一の園児です。ちなみに芽依ちゃんの上には小学校2年生の子のほか小中学生が計5人、弓削高校に通う高校生が1人います。子どもたちは地域の宝。島のみんなで子どもを育てる、そんな空気を感じます。

 

 

尚徳さんは「魚島のいいところは面倒見の良さだと思います。冷蔵庫の中が空っぽでも近所の人が食事に呼んでくれたり、おかずをお裾分けしてくださったり、いろいろお世話をしてもらいました」と独身時代を振り返ります。「仕事に必要な部材を買うのにホームセンターがあったら……と思う時はあります。でも離島とはいえ、インターネット通販ですぐ届くので、慣れてしまえばそれほど不便は感じません。」

 

  

亜希子さんは「地続きだと何でもすぐ手に入りますよね。ここではそうじゃないけれど、私は逆に、大切なものって何かを考えながら生活できると思うから気に入っています」といいます。でも不安なことも。「娘の教育のことについては、少し心配はあります。同級生だけでなく年の近い子もいないので、そういった友達の間のコミュニケーションができない。ですので、もし移住者が来てくれて子どもが増えるととても嬉しいです。」

 

 

挑戦したい人にぴったりの島

魚島では次世代に向けて漁業の担い手を募集しています。「漁業は自分の経験や体力、センスなどが総合的に問われる仕事。だから面白いともいえます。いまは手厚い研修制度がありますし、高齢のため廃業する方の中古船も手に入りやすい」と尚徳さん。漁協も現在職員を募っているとのこと。「漁師も漁協もマニュアルはありません。臨機応変に自分の考えで動きたい、動ける人にはいい環境です。若い人の挑戦を待っています。」 

  

  

[移住メモ]

魚島は人口およそ150人の小さなコミュニティです。周辺海域は古くから好漁場として知られています。主要産業はもちろん漁業。島の地域文化や仕事を次の世代へつなぐ人材が求められています。

[参考リンク]

愛媛県漁業協同組合 http://www.ehimegyoren.or.jp

 

Text & Photo: Shuhei Miyahata [Setouchi Editorial Institute]

 

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