インタビュー
移住者ストーリー Vol.1 (後編)

岩城島移住の先輩
しましま農園 代表 原田広志(はらだ・ひろし)さん
しましま農園
原田さんが運営する「しましま農園」は野菜と果樹を主体としています。「有機農法の農家さんたちはストイックに有機にこだわっていますし、慣行農法は野菜の見せ方はもちろん収益性を追求しています。僕は両方の経験をしてきたうえで、どちらも間違いではないなと思っています。いま目指しているのは、いいバランスでその両方がある形です。」

野菜は固定種を中心におよそ50品目を少量多品種で栽培、それに加えて愛媛果試第28号(商標登録名:紅マドンナ)やレモンなど数種類を育てています。

「基本的に、僕が好きな品種を有機農法でつくっています。これまで合わせて70品目くらい試しながら、最近になってその中から売れる、または売りやすいものを絞り込み、50品目ぐらいに落ち着いてきたところですね。」畑を歩いてみると、ひと畝ごとに野菜が違います。この畝は芽キャベツ、その隣はカブ、さらに向こうはスティックセニョールというように、実にさまざまな品種があってとても楽しい!

「僕が農業に取り組むことが社会の役に立つようになればいいなと思います。僕の野菜を食べていただいたり、岩城の畑を訪れていただくことで、野菜が好きになったり自然のことを学んで暮らし方が変わったりする人が増える──社会にそんないい影響を与えられたら幸せ。」原田さんはそんな未来を夢見ています。

アボカド栽培を目指して
野菜や柑橘の栽培のかたわら、いま原田さんが取り組んでいるのはアボカドの事業化です。国内に流通しているアボカドはほとんどが輸入品で、国内産はごくわずか。ですが、じつは岩城島には自然に成長しているアボカドの大木があり、毎年実をつけているのです。また愛媛県内でも先行的に栽培に成功した例もあります。

希少な国産アボカドは安全性や味が評価され輸入品の数倍の価格で取引されており、高収益が狙えるまさにこれからの作物。原田さんはそう考え、アボカドを農園の中心的存在に育て上げたいと、自らタネを発芽させ、苗を育てはじめました。

アボカドを植えているのは主に生口島の園地。しまなみ海道の高速道路に程近い、日当たりの良い斜面にいくつものアボカドの幼木が植わっています。背丈以上に大きくなっているものもあれば、小さいまま枯れてしまっているものも。素人目で見ても一筋縄ではいかない未知への挑戦。でもアボカドの葉を手に取りながらそれを見つめる原田さんの目には、力強い輝きがありました。
取材:2021年3月(肩書・状況などは当時)

[移住メモ]
岩城島は農業と造船の島。瀬戸内海の温暖で穏やかな気候を利用して、古くから柑橘類の栽培が盛んです。昭和後期にレモン栽培が導入されて以降、国産レモンの有力な産地のひとつとして「青いレモンの島」というニックネームで知られています。
[参考リンク]
しましま農園 直販サイト https://shimashimano.thebase.in
インスタグラム https://www.instagram.com/shimashimanouen/?hl=ja
Text & Photo: Shuhei Miyahata [Setouchi Editorial Institute]
フォトギャラリー
島の養豚場から分けてもらう有機肥料 岩城島の主要園地を上空から左手に野菜、中央上に柑橘 手づくりのピザ窯 自宅横の倉庫には耕運機など農作業の道具が とれたてのカブのソテーやパスタをご馳走になった 自宅の本棚には好きな小説に混じって農業関係の書籍 島に住む作家の小野寺満さんと。毎週1回は碁を打つ仲間
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