インタビュー

移住者ストーリー Vol.4 (後編)

生名島移住の先輩
上島町社会福祉協議会 職員 平石美智子(ひらいし・みちこ)さん

 

何のために島にいて、ここで働くのか

その一言が平石さんにとって大きな転機となりました。まず佐島のゲストハウス汐見の家にヘルパー(無報酬で働く代わりにベッドを提供してもらう)として逗留し、およそ3ヶ月を過ごしました。さて、これからどうしよう? と思っていた矢先に、たまたま現職場である社会福祉協議会の求人を見つけたのです。応募すると、見事に採用内定。住む家もうまく見つかり、いまの暮らしが始まりました。

当時の心境を平石さんはこう語ってくれました。「来てすぐの時は、ほかの移住者さんたちを見ていると皆やりたいことがあって、キラキラしてる。それに対して私は何がやりたいんだろう……ちょっと場違いなのかもしれない、と思ったこともありました。」そんなとき誰かが「いいことは海の向こうからやってくるよ、焦らなくていい」って言ってくれたの、と平石さんは笑います。

 

 

流れ着いたのがたまたま社協だった、という平石さん。1年間ほどは「何のために島にいて、働いているのか?」という葛藤は常にあったといいます。島という小規模のコミュニティのなかにひとりで暮らし、働くことに慣れるまで、正直苦しかったとも。しかし、たまに島外に遊びに行くと、「島に帰ってきたらホッとする」という不思議な感覚を平石さんは感じていました。「それは何か、自分でもまだよくわかりません。生名の人はいい意味でお互いがほどよい距離をとっているように感じます。地域のしがらみもそれほどなく、どこか都会的で、開放的。それが心地いいのかもしれないですね。」

 

 

地域とのつながりの中で

社協で平石さんは、施設内で要介護者に接するのではなく、その前段階──まだ要介護ではないけれど、近い将来に要介護者になる人たちのサポートを地域の中で行っています。例えば「高齢者いきいきサロン」では、公民館を使って地域のお年寄りに集まってもらい軽い運動プログラムなどを一緒に行いながら、お年寄り一人ひとりの健康状態を確認します。「お年寄りの孤独解消や社会参加を目指すこうした仕事の中で、地域とつながっていられることが嬉しいですね。」

 

 

平石さんの同居人は猫のげんまい君。生名島に住み始めて数ヶ月後、もらい手のなかった彼を引き取りました。「げんまいとの共同生活は私にいろいろなことを教えてくれます。いまは社協の仕事を前向きにやりながら、猫との暮らしを楽しみたいですね。季節を感じて、しっかりと食事をして、丁寧に暮らす、そんな生活を続けていきたいです。」社会に役立ちたい気持ちは強いという平石さん。将来的には気の合う仲間と一緒に何かつくっていけたら楽しいでしょうね、といいます。

 

 

「人との関わりがあってこそ自分もある。岩登りでロープをパートナーに託して命を預けるように、信頼できる仲間と同じ時間、景色を共有しながら生きていけたらいいですね。まずは今の生活を、運命には抗わずに受け入れていきたいと思っています。」

 

 

[移住メモ]

生名島は上島町の玄関口立石港を擁し、佐島、弓削島、岩城島へのハブとなる島です。立石港と因島土生港をつなぐ生名フェリーは1時間に2便から6便運行されており、乗船時間はおよそ3分です。スポーツの島として知られ、マラソン大会が開催されたり、ミニバイクのサーキット場もあります。

[参考リンク]

社会福祉法人 上島町社会福祉協議会 http://www.kamijima-shakyo.or.jp

 

Text & Photo: Shuhei Miyahata [Setouchi Editorial Institute]

 

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